春にして君を離れ
友達から回ってきた本。
優しい夫、よき子供に恵まれ、
女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。
が、娘の病気見舞いを終えてバグダッドから
イギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から
それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる….
女の愛の迷いを冷たく見据え、繊細かつ流麗に描いた
ロマンチック・サスペンス。
「BOOK」データベースよりお借りしました。
1944年の発表時、アガサ・クリスティーが
メアリ・ウェストマコットの名で書いた小説ですが
アガサ・クリスティーといったらミステリー。
「BOOK」データベースではロマンチック・サスペンス
となっていますが、ロマンチックより心理サスペンスではないかと。
子供や夫に対し、「良かれ」と思ってしていることが
自分本位の考えだということ。
家族に対する理想を押し付けているんですよね。
自分がやってきたことが、家族にとって良かったのか、
自分の意見の押しつけではないかと気づき始めるジェーン。
決していい妻でも、いい母でもない私と
主人公ジョーンの考えとが相いれないことに
違和感や苦痛を感じました。
自分のしてきた愚かさに気づいても、人はそう簡単に
変えることはできない、変われないのだろうか。
今から80年ほど前の小説なのに、国が違っても
人間関係の悩みは今と違わないんだなと思いました。